2016年12月2日金曜日

田園景観の保全策を考える・・・「土地本位制」は継続しているのか?

「住宅過剰社会」となりつつある21世紀初頭の日本、

田園景観の保全策を考えていく上で、
興味深いお話が、

「経済物理学の発見(高安秀樹 光文社新書)」
掲載されています。

同書では、
「毎年、企業の所得ランキングを網羅的に調査した結果をまとめて発行している」週刊ダイヤモンド誌の編集者に、
「過去30年分のデータを譲って頂き、日本の企業の所得のデータを解析」
する試みをしています。

この解析から、「所得は一社一社でかなり激しく変動しているのですが、
企業全体の分布を見ると非常に安定している」

と言う事実がわかってきました。

「日本の企業のうち、申告した所得が4000万円以上のものすべての分布を観測したプロット」は、
「両対数グラフできれいに直線に乗っており」、「かなり正確にべき分布が実現している」

「べきの指数がほぼ正確にマイナス1になっている」

ジップの法則と呼ばれる分布に、
日本の企業所得はなっているのだそうです。

そして、1970年から5年毎の企業所得の分布をプロットすると、
「ほぼおなじべき分布が持続している」としています。

さらに、企業所得を土地の価格で規格化してみると、
過去30年間の所得分布がだいたい重なっている
グラフが得られたとしています。

この事が「何を意味しているかと言うと、
日本の経済は、バブル崩壊までは経済が成長していたように
思っていたのですが、それは土地の値段が上がっていただけだったという
ことです。」

すなわち、
「バブル後に土地の価格が下がったら、それに伴って
所得も下がってしまった事もこの見方を裏付けます。」

「つまり、日本の経済と言うのは、基本的にずっと
土地本位制になっていて、土地の価格の変化に応じて、
所得が増えたように見えたり、減ったように見えたりしていた
と言うわけです。」

と、20世紀最後の30年間における
"『土地本位制』のもとでの『定常状態』"

が浮かび上がってきた事を述べています。

この本では、
続けて

「所得分布の変遷を終戦直後ぐらいから
観測できると、日本の経済がいつから定常的な状態になったのかを
データから確認できることになりますが、
残念ながら、まだそのようなデータが手元にないので、
はっきりしたことはわかっていません」

「おそらく、いわゆる高度成長までは本当に経済が成長していたのではないかと
想像しています。」
「日本列島改造論のようなポリシーで
国土全体の開発が一通り行われ、土地の付加価値が高められると、
それでだいたい飽和した状態になって、経済が定常的になったのではないかと
思います。」

と推論を述べています。

これらの考察からいくつかの疑問が出てきます。

まず、第二次大戦後、少なくとも高度経済成長期や日本列島改造論
以降の地価で規格化した企業所得分布について、
やはり、事実を知りたいと思います。

同時に、と言うより、それ以上に、
21世紀に入って以降、同様の解析をしてみたら
どんな結果になるのか?

と言うことです。

現在、全国の平均地価は、日本列島改造論が浮上した1972年以前の
水準に戻っているそうです。

こうした時代における「田園景観の保全」策はどうあるべきか?

事実を調べながら、考えていきたいと思います。

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