2012年7月30日月曜日

市民農園と栽培技術の向上

今は、2012年なので、
30年前は、1982年です。

40年前は、1972年で…。

飛んだ決まったって、
笠谷以下、70メートル級純ジャンプで、
日本選手、金・銀・銅を独占。

トワ・エ・モワの歌とともに
始まった札幌オリンピックのお話。

猛暑の中、少しは涼しくなりましたでしょうか?

でまあ、当時の将棋の解説書、
中学校の図書館においてあって、
読んだんですが、

全然納得できない、

こうするのが「気合」、
これが「天王山」、
「伸展性」がないからダメ。

気合、天王山、伸展性…
それって全部精神論じゃ?

こういう手を指したら、
こういう問題が生じるからって
論理的な説明一切なし…

てな解説がまだまだ多かった時代、

升田の将棋は、30年後の棋士が指すと
言って、「新手一生」を掲げた第四代升田名人、

何とアマチュア将棋の手法だった「雀刺し」ってのを
名人戦の舞台で採用。

あっという間に、そっちがメジャーな指し方になって…

それだけじゃなくて、30年後の棋士が指すと言う予言は、
大的中。

2012年の只今現在、羽生棋聖に藤井九段が挑戦する
王位戦の真っ最中ですが、

藤井九段が指してる角交換四間飛車、
あれって、アマチュアのネット将棋の中で、
流行しだした手法を
プロが採用するようになったわけで、

つまり、精神論とか、
今までこう指していたとかって慣習じゃなくて、

アマチュアの思いつきだろうとなんだろうと、
合理的なものが採用されていく、

むしろ、素人がやっているようなことから、
プロが学び、それを洗練したものが
タイトル戦の舞台でも使われていく、

そういう流れを作ったと言う意味で、
30年後云々の予言は、
まさに的中しているわけです。

で、その市民農園、あるいは菜園教室、
同じように育てていても、やっぱり上手に出来る人、
そうじゃない人が出てくる、

それから、岩槻とか、蓮田とか、
川口とか、

場所によっても違ってくる、

ここで、ナスは昔からこう育てる式で
菜園教室が行われていたことに気づく、

そして、そういうやり方の課題が浮き彫りになってくるわけです。

つまり、個々の農園の環境の違いとか、
それぞれのメンバーの人がやっている微妙な作業の違いとか、

ここで、こっちも理論書を読む。

野菜の生理・生態~発育の基本と環境・肥培管理による影響

とかって本のページをめくると、
ナスは、一つの実をならせるのに7-8枚の葉が必要とかって書いてある、

で、会員の人が育てているナスをみて、
ひぃふぅみぃって数えてみて、

切り戻しが早いとか遅いとか、

つまり、余分な枝が多いとか、
樹勢(木の勢い)をつけるとかって言われているけれども、
ある程度、葉の枚数が増えてから、切り戻しをするんじゃないと、

実るのに十分な光合成が進まないとか、

で、葉っぱの枚数が今何枚とか、
こういう説明なら、初心者の人も納得できる、

だけど、樹勢みたいなことを言われたら、
昔、中学生の僕らが、気合だの天王山だのって
将棋の解説理解できなかったのと同じように
理解できない…

そもそも、普通(?)の菜園教室は、
農家も農園も同じ場所で行なっているから、
他の場所との比較とかが進まない、

別々の場所で行われているいろんな現象が比較されて、
それらと理論書を照合して、
論理的に説明がつくものが、仮説として抽出されて、
初めて、切り戻しのタイミング問題が提起される、

実は近所の農家の人とかに聞くと、
接木苗じゃないと駄目だとか、
樹勢をつけるのにこうすべきだとか、

まあ、それはそれで正しいけれども、

それって、アマチュア将棋でよく言う定跡を覚えると
弱くなったと言うのに似ている…

つまり、基本になる論理とか考え方の筋道みたいな
ことの説明抜きで、形式的に矢倉囲いがこう、
振り飛車はこうってやる、

それと同じで、ナスは三本仕立て、樹勢をつけて
って言われているのと初心者からみると変わらない

実一つに葉7-8枚必要なんだから、
それだけの葉が出そろうまで、切り戻しはしない、
一番花は摘んでおく、

ある程度、葉が茂ってから、必要な枝だけを残す…

(こうすると、結果的に三本仕立てになっていくことが多いけれども、
三本仕立てが先にあるんじゃない、

たまたま安売りで買ってきた苗がめっちゃくっちゃヒョロヒョロで、
全然って時に、
どんな場合でも三本仕立てってのは正しくないかもしれない、

そんな苗を使う方が悪いって
そういう苗を大事にアマチュアは買ってくる・・・

しかし、そういう行動の中から、ある時、
こういうやり方もあるじゃんって出てくるような方法にも
合理性があるかもしれない、

矢倉囲いに端歩をつくな
振り飛車には角交換を狙え

これが昔から言われていた指し方、
しかし、アマチュアは、それぞれ、
自分が指している将棋では、
違うやり方があると考えて、
雀刺しとか角交換振り飛車とか、
独創的な手法が出てきた、

それを升田九段や藤井九段は見逃さなかった、

それと同じように、
初心者が市民農園で安売りの苗を育てる
方法において、
今まで農家が普通にやっていた方法とは
違う方法の方がいいってことがありうる、

そして、そこにはその合理性がある以上、
逆にプロが学ぶべきことが出てくる可能性がある…

そんな安売り苗の方法論真似たってって
プロは反論するかもしれない、

しかし、それは縁台将棋のやり方を
笑っていたかつてのプロ将棋と同じだと思う。

安売り苗、縁台将棋と言うところにこだわらずにみると、
普遍的なロジックがそこに見えてくる、

ナスとかトマトってのが、
矢倉囲いとか振り飛車のような将棋の戦法みたいなものだとして、

ナスは三本仕立てってのが、
矢倉は端歩はつかないみたいな
定跡=昔からの方法だとして、

問題は、定跡が先にあるんじゃない、
ナスを育てるのは実らせることが目標、
将棋は玉を詰ませるのが目標

そっちから考えて、
そのためには、一枚の実のために7-8枚の
葉がある状態をキープする、
自玉を防御し、敵を攻めるバランスある陣形を
考える

そういう風に考えていった時、
昔からの方法論とは違うベースで
組み立つ技術がありえる、

安売り苗、縁台・ネット将棋と言うところに
こだわるのでなく、
そういうものを別の角度からみてみることで、
「今まで」のベースが相対化される、

農の技術的イノベーションは意外とそういうところから始まるのかもしれません。

菜園起業について学びたい方はこちら>>

最新記事

イベント情報

メールマガジン無料購読申込

メールマガジン【菜園起業&半農生活】の無料購読ご希望の方は、下記よりお申込み下さい。

メルマガ申込>>