菜園起業相談で出た質問の一つが、
「産地」で起業した方がいいでしょうか?
と言うものでした。
お返事としては、そういう事は考えない方がいい
と申し上げました。
「産地」と言うのは、
ネギならネギの産地、
ニンジンならニンジンの産地と言うように、
ほとんどの農家が、同じ野菜を栽培しており、
農協がその野菜を買い上げて、
消費地の市場に出荷していると言うような
形になっている地域のことを言います。
「産地」では、大規模な生産が行われています。
1,000平米程度と言うことはありえず、
10,000平米ぐらいの単位でネギならネギだけが
植えられていることもザラです。
当然、それだけの面積にネギを植えるとなると、
手作業では間に合いません。
1000平米全体にネギを植えるとしても、
7,000-10,000本ぐらいを植えることになりますが、
10,000平米の場所にネギを植えるとなると、
その10倍ぐらいを植えることになるわけです。
そこで、苗植え機が必要になってきますが、
性能の良い苗植え機は、100-200万円ぐらいします。
他に植付の前に畑を耕したり、
土寄せをしたりするのにも、
機械が必要になってきます。
機械のローンだけで、相当な金額に登るでしょう。
10万本のネギを3本100円で売るとすると、
売上は約3千万円になりますが、
直売でなく、農協を通しての出荷となると、
3本100円で売れるかどうかも疑問で、
売上はもっと少なくなるでしょう。
(もっとも10万本ものネギを
手作業で、3本づつ包装し、
直売すると言うのも非現実的ですが・・・)
と言うように、「産地」での大規模農業と言うのは、
かなり、ハイリスク・ハイリターン型になっています。
都会の喧騒を逃れて、のんびり暮らしたい
と思って農の世界に入っていく人には
おそらく不向きなやり方でしょう。
小規模な農地で、いろいろな種類の野菜を育て、
顔見知りの人に売りながら、
徐々に規模を拡大していく
と言う方が、半農生活的な菜園起業には
適していると言えます。