農業は、田園景観を保全する役割を担っています。
農業における環境ケアと、福祉・医療サービスにおける対人ケアの仕組みを比較してみましょう。
福祉・医療サービスの場合、
まず、国民が、税や保険料などの形で、費用を負担します。
そうして国民から集められたお金で福祉・医療サービスの従事者が雇用され、
そのサービス従事者が、働くことが対象者に対するケアが実現しています。
一人一人の国民自身も、サービスの対象者になる可能性があると言うことが、
財源をみんなで負担する理由になっているわけです。
これに対して、農業生産活動では、農家が環境ケアの従事者です。
農家は、農作業を行って、農産物を生産し、出来た農産物を販売して、所得を得ます。
この経済活動の副産物として、環境ケアが達成されるわけです。
農家の経済活動がうまくいっている(つまり、経営が成功して、みんなが農業を続けている)
うちは、このやり方で、田園景観が保全出来ますが、
農家の経営が思わしくなくなり、
みんなが農業を辞めるようになってしまうと、
農地を管理する人がいなくなり、
田園景観が荒廃してしまいます。
これが、現在、起きている問題なわけです。
福祉・医療ケアのような仕組みを農業でも考えてみようと言うのが、
環境直接支払いの考え方です。
農家は、農作業をすることによって、田園景観を保全する環境ケア活動を
しているのだと考えて、
農家に一定額の報酬を支払い、
その財源を国民が負担している税金に求める考え方です。

菜園起業や半農生活の場合、半農生活者の直接の目的は、
自己実現にあると考えることができます。
半農生活では、この自己実現活動の副産物として、
農産物が生産されるとともに、
農地が管理され、
田園景観の保全が図られると考えることが出来ます。
このように考えてみると、菜園起業は、楽しみながら、田園景観保全と言うミッションを達成する活動だと考えることが出来ます。